最後に入り口の扉を閉めた。
「雷堂、終わりましたよ」
「あぁ・・・・・・鳴海め」
 ぎらりと眼を光らせる雷堂に、ライドウはうっすら微笑んだ。
 
 月は朧気で、微風が心地よい夜。
 ライドウたちが探偵事務所に戻ると、書き置きだけが二人を迎えた。
 それによると、鳴海は誘われるように料亭へ赴き、未成年にはちゃっかり留守番をさせるらしい。戸締まりもしとけよ、と書き添えてまで。
 どこの世界も、鳴海さんは鳴海さんらしいなとライドウは苦笑したのだが。
「未処理の書類に報告書が山積みなのだ!」
 憤慨する雷堂に、いけないと思いつつ益々笑ってしまうライドウである。
 つられて雷堂も、笑いこそしなかったが溜息を吐き、白けた表情をした。
「明日は必ずさせる」
「・・・・・・はい」
 ようやく雷堂も笑む。

「・・・・・・雷堂?」
 不意の掠めるような口づけにライドウは戸惑った。
「知らぬわけでもあるまい?」
 雷堂は今度は舌を絡め、ついには絡まり合う。
「我は貴様の嫌がる顔が見たいのだ」
「・・・・・・僕たちはやはり同じ存在なのですね」
「貴様もか?」
「無論です。あなたの屈辱に歪む顔・・・・・・そそられる」
「歪だな」
「同じ世界にいるだけで、とうに歪です」
 互いに昏く笑い合って、戯れのようにゆっくり服を剥いでいく。
 指で舌で探り合い、白を紅に染める手練手管。
 同一のようで、やはり差異はあり、雷堂は身体に無数残る傷跡に敏感に反応し、ライドウはあまり声を上げない。

「悪魔どもに邪魔されたくないからな」
 雷堂は、素早く結界を張る。




 互いの雫で濡れそぼったところで、雷堂は仰向けになり、ライドウを腰の傍に座らせる。
「十四代目は涙を流さぬと見える。強情だな」
「・・・・・・あなたの好きにはさせませんよ」
「ふっ・・・・・・耐えるのも一興、泣かせるのも一興だな」
 雷堂の笑みに、ライドウも冷笑で応えようとして、固まった。
 
 ―――猫の鳴き声が。

「ゴウト殿のお帰りかな?」
「・・・・・・い、」
「い?」
「嫌だ!」
 雷堂から下りようとしたライドウを捕まえ、無理矢理組み敷く。
「先ほどの強気はどうした? 十四代目よ」
「穢らわしい! どけ!」
「何を云うか。お楽しみはこれからだと云うのに」
 暴れるライドウを難なく封じ込め、雷堂は聞き慣れない呪を唱える。
 言霊が発動した時、ライドウは唐突に四方から衝撃を受けた。
「・・・・・・!? うぅ・・・・・・」
 急激な嘔吐感と圧迫感、そして快感。 
 口に後口に雷堂のものが突き入れられ、更にライドウの感じる部分を吸われ、揉まれた。
「・・・・・・っ、あぁ・・・・・・」
「初めて啼いたな。ククク」
 ライドウを、座っている自分の上に座らせている雷堂が、前も嬲る。
「おい、そこは 『我』 のものだ」
 二人目の雷堂が、しゃぶりながら抗議する。
「まぁそう急くな。後から順に楽しんでいくのだからな」
 三人目の分身がライドウの口に打ち付けながら笑う。
「この肌はきれいに染まる。早く我も口と手以外で貪りたいな」
 ライドウの性感を掘り起こし、愛撫していくのは最後の雷堂。
「初めての経験であろう? 四人の我に愛されるのはどんな気分がするのだ?」
「触るな! 嫌だぁ・・・・・・」
 暴発しそうな自身に手を伸ばすライドウを拘束し、雷堂は耳元で囁く。
「我には淫らで、ゴウト殿には清廉を貫こうというのか? 違うな。貴様は、常にいやらしいのだよ」
 快楽と陵辱の心痛に震え、とうとうライドウの目から涙が零れる。
 嫌がるライドウを振り向かせ、それを、殊更ゆっくりと喰み、吸い上げ、雷堂は恍惚の表情を浮かべた。
「貴様は、うまいな」
「・・・・・・ゴウト」
 切なく鼻を鳴らすライドウに、雷堂達は眉をしかめ、次いで笑った。
「こんな時に目付の名を呼ぶとは、どこまで我を侮辱するのやら」
 それもまた愛しいな。
 背筋を這う悦楽に抗うことなく、思うさま突き上げながら、雷堂は声を張り上げた。
「ゴウト殿は、そこで聞いているがよろしかろう。可愛い後継ぎの喘ぎ声をな」
「・・・・・・雷堂」
 思わず名前を呼んだのはゴウトなのかライドウなのか。
「ククク、何ならあなたも混ざりますか初代」
 低く喉を鳴らしながら、戯れ言を紡ぐ。

 しかし雷堂が結界を解くことはなく・・・・・・。




 いつ止むかもしれぬ狂宴に、月も怪しげな熱風を纏っていく。

 扉を掻きむしる爪音とライドウの啜り泣く声が、雷堂達に無限で幽玄の快楽と屈辱を与え続けるのであった。
 







 「いやがるライドウさんをドSな雷様がめちゃくちゃにしちゃって、最後にライドウさんの涙を拭ってあげるというえろシチュ」
 1818(イヤイヤ)のキリリクでしたv
 ふふふ色々すみません・・・・・・。雷ライは変則的なえろを書いてしまう梶浦です。いや、だってねぇ? 雷ライですよ。存在自体がえろい二人ですよ。これが淫らにならずにいられようか!?(同意を求めるな)
 えーと強気に言ってますが、内容が陵辱になってしまったので、ご不快の方もいらっしゃるんじゃないかと冷や冷やしております。描写はいつも通り、抑え気味(のつもり)
 一番の心配はリクをして下さったしなべさんが眉を潜めるんじゃないかってことですね! 毎度毎度すみません(涙)書き直し・・・・・・?

 そしてここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました!
 
                                         2006.6.12