爪を立てられ、雷堂は興奮した。
何度身体を合わせても飽きない身体。
元は一つであった筈のものが、ぴたりと填るように二人は相性がよかった。
肌を辿り、嘗めて揺さぶるだけでも気持ちはいいが、雷堂は、傷のない己がしてくる可愛らしい悪戯が好きだった。
「欲しいか?」
「誰、が」
「もっと素直にしてやろう」
緩急つけて揉めば、容易に啼いた。
肩口に噛みつかれて、雷堂は今日初めて、嗚呼と啼く。
「噛め」
衝動のままに腰を動かす。だが、眩むような興奮はない。
「噛め、十四代目よ」
「・・・・・・あっ・・・・・・ん」
首筋を食らいつくように噛まれ、雷堂は射精するくらい感じた。
「そうだ、もっと噛め」
俯せにして後ろから突き入れ、手は濡れた唇に突っ込む。
案の定、噛みついてきて、うっとりする。
と、淫らな穴も噛みつくように締め付けてきて、思わず呻いた。
「躾のなっていない猫め」
出しながら、相手の欲望を擦り上げれば、程なくライドウも啼いた。
荒い息を整えれば、数刻後の別れが、瞼の裏を覆っていく。
別れの言葉など要らぬ。
泪など流さぬ。
譬え、傷痕しか遺らないとしても。
傷一つない背中を眺め、雷堂は徐にライドウに噛みついた。
きれいにしなる背に、ぎりりと噛みつく。
「・・・・・・雷堂?」
見つめてくるライドウに接吻し、もう一度そこに噛みついた。
この疵は、我そのもの。
2006.7.30
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