「暇ですか」
「見ればわかるだろう」
山と積まれた衣服。
袖のほつれ、とれかけの釦を直し、雷堂は糸切り歯に糸を当てる。
「お前こそ、暇なのか」
「忙しいですよ」
「・・・・・・では、我に構っている暇はないだろう。さっさと行け」
「貴方を誘うのに忙しいのです」
「・・・・・・莫迦か?」
雑巾の波縫いに移った雷堂は、ちらりとライドウを見た。
「気が散る。向こうへ行け」
「貴方の手元を見るのが好きなのですよ」
「時間の無駄だな」
「その手は、夜もそんな動きをするのかな、とか」
「・・・・・・」
「玉結びをする時の、ねちっこい動きは、流石だな、とか」
指を刺すところだった。
「糸や針を口に含んだり舐めたりするのも、中々いいですよ・・・・・・あれ、どうしたのですか」
「行くぞ」
「寝室ですか」
「そうだ」
「え・・・・・・っ」
「嘘だ。買い出しに行くぞ」
ぽかんとしたライドウを残して、さっさと出かけようとした雷堂は、姿を消す前にくるりと振り返った。
「初めてみたいな顔してるぞ」
夜の前哨戦、開始。
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最後の台詞で、エロ親父みたいになっちゃいました・・・・・・。
云ってから雷さんは、後悔しているでしょう。
そしてライさんにからかわれることでしょう(笑)
2008.1.22