〜酔麗夜〜


 今夜も帰る様子のない男を、ライドウは待つつもりなのだろう。

 月すら浮かばない窓の外を見ながら。

    「お前、鳴海が好きなのか?」

            「誰が為に嚥下する」〜ゴウトとライドウ〜



「では、始めるよ」

 しゅるっと音がして、革紐が雷堂の躰に巻き付いていく。

 きつすぎず、ゆるすぎず。

 果ては目隠しまでされて、雷堂は呻いた。

「早くしろ。夕餉の支度がまだだ」

「努力しよう。しかし、手抜きはできないよ」

         「紐における一考察」〜定吉と雷堂と〜        





「久しぶりに暴れるかな」

       「マタ喚ンデクレヨ?」

 たまには、猫のような真似事も、悪くはない。


  「業と罪と怨讐と」〜ある男と仲魔とライドウと〜        



 冗談で接吻をしてくる男に、雷堂は辟易していた。

     「あ、以外と脆いんだな」

 衝撃にひくついた雷堂の耳元で囁いた。

            「廻り散華」〜鳴海と雷堂〜        



 其の妖花は、水では満足できずに雷堂の蜜を啜り、艶やかにほころんだ。


  此の記憶が、棘となり胸を刺そうとも。

  今は、ただその香りに噎せながら溺れておこう。

 次の夜に、優しい夢となって此の躰を満たすかもしれないから。


           「夜の棘」〜ライドウと雷堂〜