「今日は何だ。金がないのか女に振られたのか寝室を汚したのか。どうでもいいから我の部屋に入ってくるな」
「すげぇよ雷堂ちゃん。全部あたり。で、泊めて」
「おいっ・・・・・・」
するりと侵入されて、雷堂は舌打ちした。
こういうところだけ妙に素早いのだ。
段差のないところで、「いてっ」と躓いて、ふわふわの髪は上手くベッドに受け止められる。
嗚呼、最悪だ。
「また酒を呑んだのか」
「んー、まぁね」
「そんなに好きか」
「そうねー、嫌いだけど好き?」
「・・・・・・」
「俺だって色々あるんだからー」
けたけたと笑って、ごろんと仰向けになる。
「おいでよ雷堂」
「・・・・・・我の寝床だ」
少年の重みで歪む布団。
「ーーーあの~」
「ん?」
「なして、俺の上に座るんでせうか」
「我は本が読みたい」
「はぁ」
「だが貴様がいる限り、静かな読書ができない。ならば、椅子代わりにするくらいが妥協点かなと」
「胃の上に乗られてるので、もの凄く吐きそうなんデスが」
「吐くな。男を見せろ」
「いや、そんなところでスポ根はいらね・・・・・・うっ」
気まぐれに。
ただ、思いつくままに鳴海の顔の横に手をついた。
苦しみ藻掻く憎らしい男の唇に、自分のものを重ねてみた。
「ーーーましになったか?」
耳の奥に囁くように。
「唾を呑み込んだら、一時期収まるだろう」
何事もなかったように、躰を起こした。
「でも今のキスだよね?」
「・・・・・・そうか?」
くっと喉を鳴らして、頁をめくる。

「人工呼吸とまるで変わらない」

暫く、白い指が紙面を滑る音だけが響く。
「・・・・・・なぁ」
「ーーー」
「俺、今、すげぇしたいんだけど」
尻から這い上がってくる五本の鎖。
「我は読書中なのだが?」
疾うに逃げの動作は封じられているのだが。

「吐きそうなんだよ」

「で?」
「俺の吐き気とめてよ」
「また人工呼吸が必要なのか」
「うん。できるだけ激しいやつ」
「厭だと云ったら?」
「俺の魂、救って」
「・・・・・・」
「お前の使命でしょ?」
「少し、違うが」
「死にそうな奴を見捨てられない癖に」

にやにやと笑う男は、蕩けそうな甘い顔で苦いものを吐く。

「貴様、酒の何が好きなのだ」
「ん~そうね。壱つあげるなら」
突き上げながら、酒臭い息をかけてくる。


お前が、部屋に泊めてくれるとこかな。






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頭使わず書いたら、こんなになりました。
二人とも誘い受けのようだ!
なんか鳴雷鳴っていうよりナル雷ナルみたいな感じに。

所長に「ライドウとは違うよね」みたいな台詞を言わそうかと思ったんですが、
なんかやめちゃいました。

人工呼吸云々のくだりは、自分的ヒットです(笑)
そこで動かなきゃ、色々廃るよね!
頑張れ三十路!




2008/9/09