ハロウィーン突発企画です。すみませんキャラが壊れて、おかしなことになりました。
いつものことですが。
とりあえず、伽耶x雷堂。ライドウ単独を書いたので、宜しければどうぞ。短いですよ。
お話は、独立しても読めますが、(過去作品合わせて)連作でも・・・・・・。
伽耶x雷堂編「女王様の憂鬱」
ライドウ単独「雲よ流れるな」
過去の作品「Trick or Treat ?」
女王様の憂鬱
「我、が作るのか?」
探偵社の一室で、雷堂は隣人に確認した。
「私、余所のお宅でお台所を使う程、不作法なことはしませんわ」
台所は、主婦にとって、不可侵領域。
微笑む伽耶は、しかし新妻のように甲斐甲斐しく、はい、と雷堂に其れを渡す。
「む。そういうものなのか」
首を傾げながら、割烹着を受け取り、纏う。
「雷堂さん」
「ん」
「似合っていますよ」
雷堂は、何となく落ち込んだ。
「さしずめ業斗飴と云ったところか」
金太郎飴の応用で、黒猫飴を作った書生は、まんざらでもない顔でそれらを見遣る。
「凄いですね。雷堂さん」
「そうかな」
「・・・・・・えぇ、まさか本当に作られるとは思いませんでした」
ぎゅっとスカァトの端を握る伽耶に、雷堂は訝しげな表情になった。
「伽耶殿?」
「――――伽耶。もしくは伽耶さんと呼んで下さい」
「伽耶、さん。どうかしたのか」
「今日は何の日かご存知」
「・・・・・・ハロウィンだったか。鳴・・・・・・所長が云っていたな」
それがどうした、と見つめてくる雷堂に、伽耶は俯いた。
・・・・・・何て鈍い人。
伽耶は、むかむかして、目前の菓子を掴んだ。
そのまま、口に含む。
「伽耶殿!?」
「伽耶、でしょう?」
早く覚えて下さいな、と睨む。
飴は、まだ生ぬるく、噛み砕ける程、硬くなかった。
普段、御菓子もくれず、悪戯もしかけない此の人。
だから今日は、私が御膳立てまでしたのに。
嗚呼、もう!
恥ずかしい、情けない、惨めで厭よ。
期待した私が駄目なの?
雷堂さんの莫迦。
激情に、ぽろぽろと涙が溢れた。
「貴方って人は!」
「伽、」
「会っても、猫と使命と所長のことばかり!」
「それは、」
「私と仕事のどっちが大切かなんて云いません! 云いませんけど、もう少し・・・・・・何とかならないの!?」
「何とか、とは」
「・・・・・・貴方、帝都は護れても、婦女子は護れませんわね」
雷堂の、少し傷ついた顔に、伽耶は少し満足する。
そうよ。もっと本心を見せなさい、朴念仁。
さっと涙を拭い、伽耶は爪先立ちをして、其の瞳を縫い止める。
今日こそはっきりしてもらうわ。
私に会ってくれるのは、好意なのか義務なのか。
女から見ても、くらりとするほど優美な唇に、伽耶は、ぐいと近づき、一歩を踏み出す。
「さあ。貴方がキスしてくれるの? それとも私がキスしましょうか?」
雲よ流れるな
机に放り置かれた飴細工に、ライドウは目を留めた。
元は綺麗に包装されたであろう、小粒達。
散らばったラッピングと、申し訳なさそうにそこに鎮座する飴を、一つ、ライドウは手で摘んだ。
眼の前まで持ち上げ、無地の透明を見つめる。
陽光がそこに反射し、眼を射た。
「・・・・・・」
ライドウは、窓に歩み寄り、晴天を仰ぐ。
と、遙か向こうの山々に暗雲を見つけた。
・・・・・・雲、か。
幼き時分は、あの雲は、手を伸ばせば届き、ふわふわしているものだと信じていたが。
一雨くるかもしれない。
洗濯物を取り込まなければと踵を返して、飴の存在を思い出す。
窓の桟に凭れて、もう一度、掲げ見た。
透明の粒に、先ほどの雲が流れ入ったような錯覚を覚える。
不可視の黒を、水飴の中に封じ込められたらいいのに。
そっと接吻け、愛しき名を吐息に混ぜ、吹き掛ける。
嗚呼、早く帰って来て。
悪戯も御菓子も、溢れる程用意しておくから。
二人で、甘く溶けるような時間を過ごそう。
朝が来るまで。
少し乾いた表面を、舌で潤した。
伽耶さんが恐い子に。ガタブルです。すみません、本当の伽耶さんは、もっとお淑やかだと思います!(土下座)
ライドウさんが見つけた飴は、伽耶さんが内緒で持ってきていた飴だったり・・・・・・。
そう考えると、連作になるんですよね。
ライドウさんの待ち人は、お好きなカプでどうぞv
Trick or Treat!
2006.10.31
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